パートの扶養の範囲はいくらまで大丈夫?

  • パートで扶養内で働く場合は月いくらまで稼げる?
  • 扶養になるための103万と130万はどっちが得?
  • 扶養内で働くために130万円に抑える方法は?
扶養内パートについて詳しく知りたいです。
主婦がパートで働く際は、扶養に収まるかどうかがポイントになってきます。その上で考えるべき、いくつかの壁について解説していきます。

パートを始める際、気になるのが扶養内パートで働くためには、月いくらまでの収入にすればいいかです。

年収が増えて、扶養から外れてしまうと、控除などのメリットがなくなったり、支払うべき社会保険料が増えたりと、家計にとっての負担が大きくなります。

この記事では、扶養内パートで働く上でのさまざまな壁について紹介していきます。

扶養範囲内勤務にするためには月どのくらいまで大丈夫なのかもまとめているため、ぜひ参考にしてください。

目次

扶養内パート・扶養範囲内勤務とは

扶養控除を受けられる所得(年収)の範囲で働くことを扶養内パート・扶養範囲内勤務といいます。

扶養制度には所得に対して条件が定められているため、それを超えないよう調整して働いている主婦が多いです。

扶養制度は大きく3種類にわけられます。

3つの扶養制度

  • 社会保険の扶養
  • 税制上の扶養
  • 扶養手当制度

一言で「扶養」といっても、それぞれ別の制度のため、意味合いが異なります。

収入によってどの扶養内になるのかも変わってきます。

働き損パートを回避するためには、社会保険の扶養と扶養手当制度についてよく知っておかなければなりません。

社会保険の扶養内とは【2022年以降】

社会保険の扶養とは、健康保険や年金に関するものです。

扶養の対象になれば、自分で健康保険や年金保険料を支払う必要がなくなります。

社会保険の扶養内になるためには年収106万円と130万円が壁になってきます。

社会保険適用の条件

  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 1ヶ月の賃金が8.8万円以上
  • 勤務期間が2ヶ月以上の見込み
  • 従業員数が101人以上
  • 学生以外

上記すべての要件を満たすとパート先の社会保険(厚生年金・健康保険)への加入義務が発生します。

さらに社会保険の扶養に入るためには以下の条件があります。

扶養に入るための条件

  • 労働時間・勤務日数が正社員の4分の3未満
  • 1年間の見込み年収が130万円未満(交通費・賞与・残業代などを含む)

つまり社会保険上の扶養内でいる目安は、従業員が101人以上の企業で週20時間以上働くならば年収106万円(月額8.8万円)、それ以外の場合は130万円未満に抑える必要があります。

このように年収106万円と130万円が基準になっているため扶養内パート・扶養範囲内勤務する人にとって「106万円の壁」「130万円の壁」といった呼び方をします。

もし収入が増えて、夫の扶養から抜けると社会保険に加入しなければなりません。

そうすると社会保険料を支払わなければならないので手取りが減ります。

税制上の扶養内とは

税制上の扶養とは、所得税の配偶者控除(配偶者特別控除)のことです。

配偶者(妻)の所得が一定以下ならば、世帯主(夫)の所得税や住民税が安くなる制度になっています。

配偶者控除(配偶者特別控除)を満額で受けたい場合は、パートの給与年収を150万円以下に抑える必要があります。

給与年収150万円以下(合計所得95万円以下)満額控除
給与年収150万円超(合計所得95万円超)段階的に控除額が減額
給与年収201万円超控除なし

このように配偶者の収入によって控除額が変わってくるため「150万円の壁」「201面円の壁」といったいい方をします。

ココがポイント

配偶者特別控除は徐々に控除額が減っていくため、大きな働き損にはなりません。

扶養手当制度とは

夫の勤務先によっては、扶養手当(家族手当)制度があります。

扶養手当とは、家族を持つ従業員に対して企業が支給する手当のことです。企業の福利厚生のひとつであり、企業によって「扶養手当」「家族手当」と呼び方も異なります。

あくまで企業によるものなので、要件や金額などはすべて企業ごとに違います。

家族手当の支給要件によっては、パートでの収入を減らしたほうが家計全体の収入が増えることがあるため、金額などをよく確認しておきましょう。

扶養範囲内で働くためには年収はいくらまで?

パートで働く場合、年収によって扶養範囲内かどうかが変わってきます。これらの壁を意識することで、働き損を避けることが可能です。

ただし扶養には社会保険の扶養と税制上の扶養の2種類があるため、結局いくらまで働けばいいのと思っている人もいるかもしれません。

扶養範囲内で働きたい人のために、壁ごとの扶養される内容についてまとめてみました。

扶養内で働くための「年収103万円の壁」

年収103万円の壁は、所得税がかからない収入の範囲です。

年収103万円未満ならば、所得税を支払う必要がなく、なおかつ配偶者は38万円の所得控除が受けられます。

働ける時間があまりないため、なるべく支出を抑えたい場合は、この年収103万円の壁を越えないようにしましょう。

扶養内で働くための「年収106万円の壁」

年収106万円の壁は、勤務の条件などによっては社会保険の扶養内から外れる可能性が出てくることです。

扶養から外れてしまうと健康保険や厚生年金などの保険料を自分で支払う必要が出てきます。

社会保険適用の条件

  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 1ヶ月の賃金が8.8万円以上
  • 勤務期間が2ヶ月以上の見込み
  • 従業員数が101人以上
  • 学生以外

上記5つの要件を満たすと社会保険の支払いの義務が発生します。

扶養内で働くための「年収130万円の壁」

年収106万円を超えた場合、上記の要件を満たすと社会保険の支払い義務が生じます。

しかし、年収130万円を超えると上記の要件にかかわらず、夫の社会保険の雇用から外れることになります。

雇用から外れた場合、勤務先の社会保険に加入するか、国民健康保険や国民年金に加入して、自分で保険料を支払う必要があります。

ココがポイント

パートで働いていて、年収130万円を超えそうならば、勤務先で社会保険に入れるかどうか確認しておきましょう。

扶養内で働くための「年収150万円の壁」

年収150万円を超えると、社会保険の扶養から外れるだけでなく、配偶者控除の金額が減っていきます。

もし年収201万円を超えると配偶者控除の金額は0円となります。

そのため、年収150万円を超えると一定の配偶者控除は受けられるものの、社会保険上でも税制上でも、ほとんど扶養から外れてしまいます。

>>【2024年】103万と130万どっちが得?パート妻が少し超えた場合はいくら払うの?

扶養内パートで働く場合、月いくらまで大丈夫?

年収が増えていくと、さまざまな負担が大きくなっていくことが理解できたと思います。

では具体的に扶養内パートで働く場合、月どのくらいまで稼ぐことができるのでしょうか。

この際、社会保険上の扶養内で働きたいのか、税制上の扶養内で働きたいのかによって、月に稼げる上限は変わってきます。

社会保険の扶養内でいるには月88,000円

社会保険の扶養でいるには、月の収入を88,000円に抑える必要があります。

現在は従業員100名以下ならば月108,333円まで稼いでも扶養内ですが、2024年10月に従業員が51名以上の企業から月88,000円に変わります。

これまでと範囲が変わってしまうため気をつけましょう。

税制上の扶養ないでいるには月167,500円未満

税制上の扶養内でいるためには、月167,500円未満にする必要があります。

しかし、配偶者の所得が1,000万円以上だと、こちらの所得に関係なく、配偶者控除は受けられなくなるため注意しましょう。

この場合の収入は、課税所得のため交通費(通勤手当)や公的給付金は含まれません。

扶養内パートでいるための注意点

年収の壁によって、通勤手当や残業代が含まれるかどうかが変わってきます。

いろいろわかりづらいため、下の表にまとめます。

年収の壁通勤手当(交通費)残業代および賞与公的給付金
106万円の壁含まない含まない含まない
130万円の壁含む含む含む
150万円の壁非課税分は含まない含む含まない
201万円の壁非課税分は含まない含む含まない

2021年以前2022年以降の社会保険制度の変更点

2022年10月、パートなどの短時間で働く人に対する社会保険の適用範囲が広がりました。

2022年9月までの社会保険からの変更点

2022年9月までの106万円の壁は従業員数501人以上の会社に勤務し、なおかつ雇用期間が1年以上の人が対象でした。

しかし2022年10月から社会保険の適用範囲が広がり、従業員数101人以上、雇用期間が2ヶ月以上の人までが対象になりました。

この改正によってこれまで社会保険の加入対象から外れていた人でも勤務先の社会保険に加入する人が増えました。

2024年からはさらに範囲が拡大

501人以上の企業から101人以上の企業と社会保険の適用範囲が広がりましたが、2024年10月にはさらに広がり、従業員数51名以上までが対象になります。

この場合の従業員数とは、フルタイムで働いている人に加えて、1週間の労働時間がフルタイムの3分の4以上のアルバイト・パートも含みます。

そのため、現在は社会保険を払わなくていいものの、2024年以降は支払わなければならないという人が増えます。

ココがおすすめ

できるだけ扶養内で働く場合は、従業員数が少ない店舗などで働く必要が出てきます。

扶養範囲内で働き損にならないポイントは130万円の壁

配偶者の扶養になっている人が、仮に103万円の壁を越えて所得税が発生したとしても、収入が増えればほとんどの場合で世帯収入はアップします。

扶養内でパートをする際に、働き損になるかどうかのポイントは130万円の壁です。

130万の壁を越えると手取りが大きく下がる

たとえば、健康保険の加入条件にならない勤務先で、給与収入が130万の壁を越えると、自分で国民健康保険や国民年金を納める必要があります。

国民健康保険は自治体や年齢によって金額が異なりますが、国民年金保険は2022年度で毎月16,590円です。

そのため、国民年金保険と国民健康保険の合計が30,000円だとすると、年間で36万円も手取りが減ることになります。

給与収入が130万円ならばこの負担はありません。

131万円になったとたん手取りが95万円となるため、かなり大きな差があることがわかります。

ココに注意

収入が1万円増えただけで支払う金額が36万円も変わるため注意が必要です。

130万円を超えるならば150万円以上を稼がないと働き損

パートの給与収入が130万円を超える場合、手取りの減少を防ぐためには150万円以上を目指す必要があります。

ただしパート先の条件によって106万円を超えて社会保険に加入する場合は、125万円前後で世帯収入がプラスになることもあります。

国民健康保険と国民年金保険の両方に加入して保険料を納める場合には、給与収入170万円以上を目指すと働き損が防げるといわれています。

扶養範囲内でパートするなら知っておきたい制度の変更

2018年に行われた税制改正によって、控除に関する制度に変更がありました。

扶養内で働くなら知っておきたい配偶者控除

配偶者控除とは、世帯主に養う家族(配偶者)がいる場合に、生活にかかる費用負担を考慮して、税金を控除するという制度です。

最大で年間38万円が控除されるため、家計にとっても大きな金額です。

2017年までは、配偶者控除が受けられるパートの上限年収は103万円でした。

しかし税制改正によって、配偶者控除の上限は変わらずに、配偶者特別控除を利用することで年収150万円までが控除を受けられるようになりました。

それまで働き過ぎは損をするといわれていたパート主婦の上限が上がり、以前よりも稼ぎやすく変更されました。

参考:配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて | 国税庁

扶養内で働くなら知っておきたい配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、103万円を超える収入があり、配偶者控除が受けられない場合でも、一定の控除が受けられる制度のことです。

収入が増えて扶養から外れると、急に家計の負担が増えてしまうため、その調整のために設けられたのが配偶者特別控除です。

控除対象金額も給与年収上限が141万円から201万円まで拡大されています。

ただし、夫の年収が高いと配偶者特別控除が減額されたり、控除自体が受けられないこともあります。

たとえば夫の年収が1,220万円を超えると配偶者控除を受けることはできません。

控除を受ける納税者本人の合計所得金額
900万円以下900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下









48万円超 95万円以下38万円26万円13万円
95万円超 100万円以下36万円24万円12万円
100万円超 105万円以下31万円21万円11万円
105万円超 110万円以下26万円18万円9万円
110万円超 115万円以下21万円14万円7万円
115万円超 120万円以下16万円11万円6万円
120万円超 125万円以下11万円8万円4万円
125万円超 130万円以下6万円4万円2万円
130万円超 133万円以下3万円2万円1万円

参考:配偶者特別控除を受けるための要件 | 国税庁

扶養内パート主婦は扶養から外れると損をする?

パート主婦が扶養から外れてしまうと、家計の負担が増えるため、どうしても働き損というイメージが強いです。

しかし必ずしも損をするわけではなく、扶養制度の種類によって損をしやすい場合と損をしない場合があります。

社会保険上の扶養は働き損になりやすい

パート主婦の手取りに大きく関わってくるのが、社会保険上の扶養です。

社会保険の扶養の壁である106万円や130万円を少しでも超えてしまうと、手取りが大きく減ってしまいます。

たとえば年収105万円で夫の社会保険の扶養内の場合、社会保険料は0円です。税金が約2万円かかるため、手取りは約103万円です。

これが年収110万円になって扶養外になってしまうと社会保険料が約15万円、税金が約1万円かかるため手取りは約94万円です。

つまり年収が5万増えると、手取りが103万から94万になるため、多く働いているはずなのに手取りが減ってしまうのです。

これがいわゆる働き損ゾーンといわれるラインです。

ココがポイント

もし年収の壁を越えそうな場合には、150万円以上を目指したほうが手取りが増えていきます。

税制上の扶養は働き損にならない

税制上の扶養を外れると、控除が減るため夫の所得税が増えます。

しかし、妻の収入増加よりも夫の税金が増えることがないため、働き損になることはまずありません。

そのため、税制上の収入の壁となる150万円の壁や201万円の壁はそこまで気にする必要はないでしょう。

社会保険の扶養外になっている場合は、税制上の扶養範囲を気にせずに収入を増やしていったほうがいいです。

まとめ

パート主婦は扶養範囲内かどうかで家計に与える負担が大きく変わってきます。

とくに社会保険上の扶養に関係する106万円の壁や130万円の壁についてはきちんと理解しておきましょう。

増えた収入よりも支払う金額のほうが多くなる場合があるため、働き損になる恐れがあります。

扶養制度はいろいろとややこしいことが多いため、ぜひこの記事を参考にしてベストなら働き方を選んでください。

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